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Channel: 欲望日記
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天使がうちにやって来た!!



7月31日―。
もはや何も申しますまい。
塚本くんが、我が家にやって来ました

白いくらいまぶしい陽射しの中、オープンカーの後部座席にダンボールを積んで
緑のトンネルの坂道をゆっくりゆっくり登ってきた彼の、ひまわりのような笑顔…。
セミがやかましいくらい鳴いていたっけ。

「お世話になりますっ!!」

塚本くんの荷物は驚くほど少なくて、ダンボールの中身はほとんど服と本とCDだけ!
大きなものといったら、パソコンぐらい。

「もともと何にも持ってないんだ。電子レンジすらなかったから(笑)」

生活感のない彼…。 そんなところがまたステキ☆
そんな塚本くんの荷物の中に、とびぬけて重いダンボールがありました。

その中身は…。
何冊ものスケッチブックと絵が描き散らかされたたくさんの紙・紙・紙!!!

「これのために、明るい部屋に住みたかったんだよねー。」

汗をタオルでぬぐいながら塚本くんが言いました。

「前のお部屋、そんなに日当たり悪かったの?」

「うん。空も見えなかった。上京してきて何も分からず住んだ部屋だから、仕方
ないんだけどね。」

「えっ、塚本くんってこっちの人じゃないんだ?」

「北海道だよ。」

よく考えたら私、塚本くんのこと何も知りませんでした。向こうも同じだと思いますが(笑)
塚本くんの引っ越しは夕方には片付けまで終わり、バルコニーで乾杯の缶ビールを♪

「おつかれさま~! ようこそ横浜へ☆(笑)」

「ありがとう。 これからよろしくお願いしますっ!!」

遠くでひぐらしがカナカナと鳴いています。
夕焼けに赤く染まった塚本くんを見ながら、私は幸せで胸がいっぱいになるのを感じたのでした・・・。



…と、このままロマンチックにフェードアウトしたいのですが、そうは問屋が下ろしません(笑)!!
突然、鳴り響く携帯
見てみると、ナミちゃんもとい(笑)本物の奈美からです!!

風のうわさで無事同居人が見つかったって聞いてさー!今からお祝いに行こうかと☆」

きぃーーーーーーーーーっ白々しい(><)
風のうわさだなんて。 私から無理やり聞きだしたくせにっ。


15分後、ほんとに奈美の奴うちに来ちゃいました(@o@)

「おめでとーーーっ!!! あなたが塚本くん!? やだほんとにカッコいいじゃなーい!!
私、なおの親友で奈美っていいます。 よろしくねぇん☆ ウフ☆」

ひさびさに峰不二子節・全開です。 クラクラしますが、ゲイに対してもキキメはあるのか!?

「塚本です。すみません、ひょんなことからこれからなおさんちに住まわせて頂くことになりました。
奈美さんてお綺麗な方ですね! これからどうか、よろしくお願いします。」

塚本くんはその礼儀正しさと抜かりないお世辞(笑)で、がっつり年上女のハートをキャッチ。
でもいやらしさのないところが、さすがゲイ…(☆o☆)

「あら~綺麗だなんて…♪ なお、あんたも彼氏に浮気されて別れちゃったりで
ここんとこほんとに不幸だったけれど、こんないい子が来てくれて良かったわね。
塚本くん、どーぞこの子をよろしくお願いします!!」

そう言って塚本くんにふかぶかと頭を下げる奈美。

「いえいえこちらこそ。なおさんのことはお任せください。」

調子を合わせる塚本くん。

やめてけれーーまるで私がだめな子みたいじゃないかぁぁぁーーっ(><)
しかも『浮気された』だなんて、余計なことをっ(怒)



奈美もやがて帰り、私たちはやれやれと順番にシャワーを浴びました。 
ソファで構わないという塚本くんのために、一緒に寝室へ寝具を取りに行った時です。

いやでも目に入る、部屋の真ん中にどどーんと鎮座ましますダブルベッド!!!!
なぜか激しく緊張(><)!!!! 何もねーよ(笑)

「…なおさん。」


えっ?

だっ、だっ、駄目よっいけないわっ、そんな、まだ前の彼と別れたばかりで不謹慎な―…!

いいね~こんなおっきいベッドをひとり占め♪ 贅沢~っ!!!」

―妄想劇場終了…。(-_-)

「でしょ~! ってそれ、さびしくない(笑)!?」

「あっ…! ごめん、そういうつもりじゃなかったんだ。」

「えっ!? あっ、そんな!ごめん全然気にしないで(><)!呪われてるしね~そのベッド。
ほんとに塚本くんが使ってくれた方が、かえっていいかもしれないわ。」

呪われてる?

「そ。 何を隠そう、そこが『浮気の現場』ってヤツよ。―燃やしちゃおうかなマジで(笑)」

「なおさん…。」

枕とタオルケットを手に笑いながら振り返ると、思いつめた表情の塚本くんが立っていました。


「こっち来て。なおさん。」

塚本くんは何を思ったかベッドに横たわると、上半身を起こして私を手招きしました(@o@)!!

なっ、何してんの塚本くん? 冗談やめてよ―…。」

心臓が今にも爆発しそうなくらい脈打っています。
平静を装おうとしても声が震えるのが自分でも分かりました。

「いいから、早く。」

まるで催眠術にかかったように、それでも私の体は差し伸ばされた手の方へふらふらと…。

ぐいっ、と手を引かれ、次の瞬間には塚本くんと並んでベッドに横たわっていました。
驚きと緊張で息もできないでいる私の耳のよこで一言―。

「ベッドの厄払いさ。これで彼氏と『おあいこ』だよ(笑)!」

思わず塚本くんのほうへ向き直りました。
いたずらっぽい、でもいたわりに満ちた塚本くんの目―。

「…ほんとだ~。いぇーいザマミロ~!・・・」

自然とあふれてきた涙を拭いもせず、顔をぐしゃぐしゃにしながら、私は笑いました。



それから、このベッドで悪夢にうなされることは二度となくなったのでした―☆


つづく

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